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2026
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大地震のたびに住宅は強くなった―耐震基準の歴史から考える木造戸建て住宅

大地震のたびに住宅は強くなった―耐震基準の歴史から考える木造戸建て住宅

こんにちは。最近は秋雨前線が活発になり、雨の日が多くなっています。また台風や大雨などの自然災害も多く発生しています。雨や台風以外にも、地震に関するニュースを目にする機会が増えたと感じている方も多いのではないでしょうか。南海トラフ地震の発生確率が80%を超えると言われて20年近くになりますが、皆さんは地震対策を行っていますか?今年の7月28日にも熊本で大きな地震が発生しました。大きな地震が発生するたびに、「もし自分の住んでいる地域で大地震が起きたら、この家は大丈夫だろうか」と不安になることがあります。

日本は昔から地震の多い国です。そのため、私たちが暮らす住宅にも、地震に耐えるためのさまざまな基準が設けられています。しかし、「耐震基準」という言葉は知っていても、具体的にどのような基準なのか、自分の家がどの時代の耐震基準で建てられているのかまで知っている方は、意外と少ないのではないでしょうか。今回はそんな方に向けて、耐震性能の変遷や耐震基準とはどのような事なのかをまとめてみました。

日本の住宅に求められる耐震性能は、昔から同じだったわけではありません。過去に発生した大地震で建物がどのように壊れ、なぜ多くの被害が発生したのか。その原因を調査し、同じ被害を繰り返さないように建築基準は何度も見直されてきました。つまり、現在の耐震基準は、過去の大地震で得られた多くの教訓の積み重ねによって作られているのです。そして、ここで知っておきたいことがあります。

「耐震」とは、どんな大地震が来ても家をまったく壊れないようにする、という意味ではありません。

では、建築基準法における「耐震」とは、いったい何を目的としているのでしょうか。

今回は木造戸建て住宅を中心に、耐震基準がどのように変わってきたのかを振り返りながら、「耐震とは何なのか」、そして現在住んでいる住宅や、これから住宅を購入する際に知っておきたいポイントについて考えてみたいと思います。

そもそも「耐震」とは何を意味するのか?

「耐震性がある家」と聞くと、「大きな地震が来ても壊れない家」をイメージする方も多いかもしれません。しかし、建築基準法が求めている耐震性能は、どんな大地震が起きても建物を無傷のまま残すことを目的としたものではありません。現在の耐震基準では、大きく分けて二つの規模の地震を想定して考えられています。

一つは、震度5強程度の中規模地震です。

これは建物を使用している間に遭遇する可能性のある地震を想定したもので、この程度の揺れに対しては、建物に大きな損傷が生じないことを基本的な考え方としています。もちろん、実際の地震では揺れ方や地盤の状態、建物の形状や経年劣化など、さまざまな条件によって被害の程度は異なります。そのため、「震度5強ならまったく被害が出ない」という意味ではありません。

そしてもう一つが、阪神・淡路大震災クラスの震度6強~7程度の大規模地震です。

このような極めてまれに発生する大きな地震に対しては、建物がまったく損傷しないことを求めているわけではありません。建物に一定の損傷が生じたとしても、倒壊・崩壊することによって中にいる人の命が奪われることを防ぐ、という考え方になっています。

簡単にまとめると、

震度5強程度の地震では、大きな損傷を生じないことを目指す。

震度6強~7程度の大地震では、損傷する可能性はあっても倒壊・崩壊を防ぎ、人命を守る。

という考え方です。

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ここは住宅の耐震性を考えるうえで、とても大切なポイントです。「耐震基準を満たしている=大地震の後も無傷で、そのまま住み続けられる」という意味ではありません。大地震に対して最も優先されるのは、建物を無傷で残すことではなく、建物の倒壊・崩壊によって人命が失われることを防ぐことなのです。

耐震基準は大地震の被害から見直されてきた

日本の耐震基準は、最初から現在のような形だったわけではありません。大きな地震が発生するたびに、倒壊した建物を調査し、「なぜ壊れたのか」「何が足りなかったのか」を検証しながら基準が見直されてきました。

まず、その大きな流れを簡単な年表で見てみましょう。

木造住宅の耐震基準・大地震の主な変遷

 %e8%80%90%e9%9c%87%e5%9f%ba%e6%ba%96%e3%81%ae%e5%a4%89%e9%81%b7この中でも、木造戸建て住宅について特に知っておきたいのが、「1981年」と「2000年」という二つの節目です。

1981年――「新耐震基準」の登場

現在の耐震基準を考えるうえで、大きな転換点となったのが1981年(昭和56年)です。1978年に発生した宮城県沖地震など、それまでの地震被害を踏まえて耐震基準が大幅に見直され、1981年6月から、いわゆる「新耐震基準」が導入されました。

それまでの耐震基準では、中規模の地震に対して建物が損傷しないことが主な考え方でした。新耐震基準ではそれに加えて、震度6強~7程度の非常に大きな地震が発生した場合についても、建物が倒壊・崩壊して人命に危害を及ぼさないことを目標とする考え方が取り入れられました。木造住宅についても、必要とされる壁量が見直されるなど、耐震性能の強化が図られています。そのため、住宅の耐震性を考える際には、現在でも「1981年以前か、それ以降か」が一つの大きな目安になっています。

1995年――阪神・淡路大震災が突き付けた木造住宅の弱点

しかし、新耐震基準ができたことで住宅の耐震対策が完成したわけではありませんでした。1995年(平成7年)に発生した阪神・淡路大震災では、多くの木造住宅が倒壊し、多数の犠牲者が出ました。特に古い耐震基準で建てられた住宅の被害が大きく、建物の倒壊が人的被害につながることが改めて明らかになりました。

一方、木造住宅が地震に耐えるためには、単純に「壁が何枚あるか」だけでは十分ではありません。

例えば、

・耐力壁が建物の中でバランスよく配置されているか
・柱と梁、土台などが適切に接合されているか
・柱が地震による力で引き抜かれないよう対策されているか
・地盤に応じた基礎になっているか

といった部分も非常に重要です。こうした地震被害の検証などを経て、木造住宅の基準はさらに見直されていくことになります。

2000年――木造住宅にとってもう一つの重要な節目

そして2000年(平成12年)、木造住宅の構造に関する規定がさらに明確化されました。

主なポイントとして、

・地耐力に応じて採用できる基礎の種類
・耐力壁をバランスよく配置するための方法
・筋かいや柱の柱頭・柱脚など、接合部の緊結方法

などが明確になりました。

特に「壁の配置」と「接合部」は重要なポイントだと感じます。いくら必要な耐力壁の量を確保していても、その壁が建物の一方に偏っていれば、地震の際に建物がねじれるような力を受ける可能性があります。また、地震の力によって柱には、土台などから引き抜かれる方向の大きな力がかかる場合があります。その力に対抗するため、必要に応じてホールダウン金物などの接合金物を使用し、柱や土台などを適切に緊結することが重要になります。

そのため木造戸建て住宅について考える場合、1981年の「新耐震基準」だけでなく、2000年も重要な節目の一つとして知っておいてほしいと思います。

2016年――熊本地震で見えてきたこと

2016年(平成28年)の熊本地震では、最大震度7を記録する非常に大きな揺れが短期間に繰り返し発生しました。

この地震でも、建築された年代によって木造住宅の被害状況に違いが見られました。

旧耐震基準の木造住宅では大きな被害が確認された一方、新耐震基準導入後の住宅でも、2000年に接合部などの規定が明確化される以前に建てられた住宅には、倒壊などの被害が確認されています。つまり、

「1981年以降の新耐震だから絶対に大丈夫」

と考えるのではなく、木造住宅については「いつの基準で、どのように建てられた住宅なのか」まで見ていくことが大切なのです。

「耐震基準」と「耐震等級」は同じものではない

ここまで耐震基準についてお話ししてきましたが、住宅の耐震性について調べていると、もう一つよく目にする言葉があります。それが「耐震等級」です。耐震基準と耐震等級は似た言葉ですが、意味は同じではありません。

建築基準法で定められた耐震基準は、住宅を建てる際に守らなければならない最低限の基準です。一方、耐震等級は「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づく住宅性能表示制度の中で、住宅の耐震性能を等級によって分かりやすく示したものです。

耐震等級1

建築基準法で求められる耐震性能と同等レベルです。

耐震等級2

耐震等級1で想定する地震力の1.25倍の力に対する強さがあります。

耐震等級3

耐震等級1で想定する地震力の1.5倍の力に対する強さがあり、住宅性能表示制度では最も高い耐震等級です。

ここで注意してほしいのは、「新しい住宅だから耐震等級3」というわけではないということです。建築基準法の耐震基準を満たしていることと、住宅性能表示制度によって耐震等級が評価されていることは別の話です。これから住宅を建てたり購入したりする方は、「耐震基準を満たしているか」だけでなく、耐震等級についても確認してみるとよいでしょう。

あなたの家は、いつ建てられましたか?

ここまで読んで、「では、わが家は大丈夫なのだろうか?」と思われた方もいるかもしれません。まず確認してほしいのが、住宅が建てられた時期です。

木造戸建て住宅の場合、大まかな目安として、

1981年5月以前

1981年6月~2000年5月

2000年6月以降

という三つの時期に分けて考えることができます。

1981年以前の旧耐震基準の住宅だからといって、すべての住宅が危険というわけではありません。すでに耐震診断や耐震改修が行われている住宅もありますし、建物の状態も一棟一棟違います。しかし、現在まで耐震診断を一度も行っていないのであれば、有料になってしまいますが、一度専門家による耐震診断を検討する価値はあると思います。

そして意外と見落とされやすいのが、1981年6月から2000年5月までの木造住宅です。この時期の住宅は新耐震基準で建てられています。そのため「新耐震だから大丈夫」と考えてしまいがちですが、2000年に木造住宅の接合部や耐力壁の配置などに関する仕様が明確化される以前の住宅でもあります。

築年数を見るときには、「新耐震か旧耐震か」だけでなく、「2000年前後」も一つの重要な目安として知っておいてほしいと思います。

建てた時の耐震性能が、そのまま現在の耐震性能とは限らない

そして、住宅の耐震性を考えるうえでもう一つ知っておいてほしいことがあります。それは、「建築当時の耐震性能」と「現在の住宅の状態」は必ずしも同じではないということです。住宅は長い年月、雨や風、湿気などにさらされながら使われます。例えば、

・雨漏りによって柱や梁などの構造材が腐食している
・シロアリによる被害を受けている
・基礎に大きなひび割れが発生している
・建物に傾きが生じている

こうした状態になれば、建築当時に耐震性が確保されていた住宅でも、その性能を現在も同じように発揮できるとは限りません。さらに注意したいのが、増築やリフォームです。例えば間取りを大きく変更するために壁を撤去した場合、その壁が地震に抵抗するために必要な耐力壁だった可能性もあります。もちろん、適切な構造検討を行ったうえで必要な補強がされていれば問題ありません。しかし古い住宅では、過去にどのような工事が行われたのか、図面や記録が残っていないケースもあります。だからこそ住宅の耐震性は、

「築何年だから大丈夫」
「新耐震だから大丈夫」

と単純に判断するのではなく、現在の建物の状態まで含めて考える必要があるのです。

中古住宅を購入するときにも知っておきたい

これは、これから中古の木造戸建て住宅を購入しようとしている方にも同じことが言えます。ただし、ここで誤解してほしくないのは、中古住宅を購入するときに確認すべきことが「耐震性だけ」という意味ではありません。

雨漏り、シロアリ、給排水設備、断熱性能、過去の修繕履歴、土地や周辺環境など、確認すべきことはたくさんあります。

耐震性は、その中の重要な項目の一つです。

耐震という観点から見るのであれば、建築された年代を確認したうえで、

・耐震診断を受けたことがあるか
・耐震改修を行った履歴があるか
・設計図書や確認申請関係の資料が残っているか
・増改築や大きな間取り変更を行っていないか
・雨漏りやシロアリなど、構造材を傷めるような不具合がないか
・基礎や建物に大きなひび割れ、傾きなどがないか

といった点も確認してほしいと思います。

特に1981年6月から2000年5月までに建てられた在来軸組構法の木造住宅については、「新耐震」という言葉だけで判断せず、必要に応じて専門家に耐震性を確認してもらうことも選択肢の一つです。

大切なのは「わが家を知ること」

日本の耐震基準は、大きな地震が発生するたびに、その被害を調査し、原因を検証しながら改善されてきました。1950年に建築基準法が制定され、1981年には新耐震基準が導入されました。そして阪神・淡路大震災などの被害を経て、2000年には木造住宅の接合部や耐力壁の配置などについて、より具体的な仕様が明確化されました。さらに熊本地震では、建築された年代や仕様によって被害状況にも違いが見られました。

しかし、今回一番お伝えしたかったのは、

「古い家は危険で、新しい家なら安全」

ということではありません。

大切なのは、自分の住んでいる住宅がいつ建てられ、どのような基準で設計され、その後どのように維持されてきたのかを知ることです。そして、耐震基準を満たしている住宅であっても、「大地震が来ても絶対に壊れない」と保証されているわけではありません。

大地震に対する耐震の大きな目的は、建物を無傷で残すことではなく、倒壊・崩壊によって人命が失われることを防ぐことです。

最近の地震を見て「わが家は大丈夫だろうか」と少しでも気になったのであれば、まずは建築された年代を調べ、手元に建築当時の図面や資料が残っているか確認してみてはいかがでしょうか。そして必要であれば、専門家による耐震診断を検討する。

自分の家がどのような住宅なのかを知ること。

それが、地震に備える最初の一歩になるのではないでしょうか。

本日も最後までブログを読んでいただき、ありがとうございました。

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