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2026
06.18
住宅価格はなぜ上がり続けるのか?現場から見た資材高騰の真実

こんにちは。東海地方も梅雨入りし、すっきりしない空模様が続いていますね。

最近は中東情勢に関するニュースを目にする機会が増えています。一時は原油価格の高騰や供給不安が懸念されていましたが、現在は停戦に向けた動きも見られ、市場も徐々に落ち着きを取り戻しつつあります。

一見すると、こうした国際情勢は私たちの暮らしとは遠い世界の出来事のように感じるかもしれません。しかし実際には、原油価格の変動は住宅建築に使用されるさまざまな資材にも影響を与えており、住宅価格上昇の一因となっています。

さらに近年は、ウッドショックや半導体不足、物流費の高騰、人手不足などが重なり、住宅業界を取り巻く環境は大きく変化しました。

そこで今回は、住宅価格が上昇を続けている背景について、現場で実際に経験した資材高騰の経緯を交えながらお話ししたいと思います。

 

建設現場と中東情勢はなぜ関係があるのか?

住宅建築と聞くと、木材や鉄骨をイメージする方が多いと思います。しかし実際には、住宅には多くの石油由来製品が使用されています。その代表的なものが「ナフサ」です。

ナフサとは、原油を精製する際に作られる石油化学製品の原料で、塗料、シーリング材、防水材、断熱材、接着剤、塩ビ配管など、住宅に欠かせない多くの建材の原料となっています。つまり、中東情勢の変化によって原油価格が変動すると、間接的に住宅建築費にも影響を与えるのです。

 

コロナ禍以降、建設業界で起きた資材高騰の歴史

2020年以降の建設業界は大きな変化の連続でした。

2020年、新型コロナウイルスの世界的流行が始まりました。当初は感染症対策が中心でしたが、その後、生産工場の停止や物流網の混乱が世界中で発生し、建設業界にも大きな影響が及びました。

振り返ると、この数年間は次のような出来事が続いていました。

【2020年】
・新型コロナウイルス流行
・世界的な物流混乱

 

【2021~2022年】
・ウッドショック

 

【2021~2022年】
・半導体不足

 

【2020年~現在】
・物流費高騰
・人手不足

 

【2025年~2026年】
・ナフサ価格上昇懸念

 

建設業界は、この約6年間、常に何らかの供給不安や価格上昇と向き合いながら住宅づくりを続けてきました。

 

ウッドショックで起きたこと

2021年頃から始まったウッドショックは、木造住宅に大きな打撃を与えました。海外での住宅需要増加や物流の混乱によって木材不足が発生し、価格が急騰しました。

現場では柱や梁などの構造材だけでなく、床下地に使用する合板ベニヤ、耐力面材なども不足しました。材料の納期が読めず、着工時期の変更や見積りの再提出を行うケースも珍しくありませんでした。私自身も、材料確保のためにメーカーや商社へ何度も確認を行ったことを覚えています。市場が落ち着きを取り戻すまでには、およそ1年から1年半程度かかりました。

 

半導体不足で設備機器にも影響

続いて発生したのが半導体不足です。テレワークやオンライン需要の増加によって世界中で半導体需要が高まり、住宅設備機器にも大きな影響が及びました。特に給湯器やエコキュートでは、本体やリモコンに使われている電子基板の製造が滞り、本体そのものが供給不足となりました。

新築工事だけでなく、故障した設備の交換にも影響が出ました。実際に、お客様から給湯器の故障連絡をいただいても、交換品がなかなか入荷せず、お待ちいただくケースがありました。生活に直結する設備だからこそ、半導体不足の影響の大きさを実感した出来事でした。完全に正常化するまでには、約1年から2年を要したと言われています。

また、近年はAI向け半導体需要が急速に拡大しています。現在のところ住宅設備向け半導体の供給は安定していますが、今後の需要動向によっては再び供給不足が発生する可能性もあります。住宅設備の電子化やAI化は今後さらに進むと考えられるため、設備機器価格の動向には引き続き注目が必要です。

 

今も続く物流費高騰と人手不足

物流網そのものはコロナ禍当初より改善されましたが、物流費は以前の水準には戻っていません。燃料費の上昇や輸送コストの増加により、多くの建築資材価格が高止まりしています。

また、建設業界では深刻な人手不足も続いています。職人の高齢化や若手不足に加え、働き方改革への対応もあり、人件費は年々上昇しています。これは一時的な問題ではなく、今後も続く可能性が高い構造的な課題であり、住宅価格を押し上げる要因の一つとなっています。

 

ナフサショックと塗装業界への影響

そして最近注目されたのがナフサ価格の上昇です。ナフサ価格の上昇は実は1年ほど前から始まっていました。住宅関連では、接着剤やボンド類、住宅設備機器などの価格上昇が徐々に進んでいました。そこへ今回の中東情勢の悪化が重なり、原油価格やナフサ価格の先行きに対する不透明感が高まりました。ナフサは塗料やシーリング材、防水材などの原料となるため、価格が上昇すると塗装工事や防水工事にも影響が及びます。

実際に塗料メーカーでは価格改定が行われ、塗装業者様からも材料費上昇の声を耳にする機会が増えました。塗装業界のみならず、接着剤や塩ビ配管、床材、防水材などにも影響が及んでいます。住宅一棟を建てるためには数千点もの部材が使用されますが、その多くが石油化学製品と関わっているため、結果として住宅関連資材全体の価格上昇につながっています。現在、中東情勢は以前より落ち着きを取り戻しつつあります。そのため、ウッドショックのような大規模な供給不足へ発展する可能性は低いと考えられています。しかし今回の出来事によって、建設業界が世界情勢と密接につながっていることを改めて実感しました。

 

今後の市況予想

それでは今後の住宅価格はどうなるのでしょうか。結論から言うと、大幅な値下がりは期待しにくいと考えています。その理由は、木材価格やナフサ価格だけではなく、

・物流費の高止まり
・人件費の上昇
・職人不足
・資材価格全体の上昇

といった複数の要因が重なっているためです。

中東情勢が落ち着けば、原油価格やナフサ価格は安定する可能性があります。しかし、一度上昇した物流費や人件費が大きく下がる可能性は低いです。そのため今後1~3年程度は、住宅価格が急騰するというよりも、「高値圏で推移する状態」が続くと予想しています。

 

住宅購入を検討されている方へ

住宅購入を考えているお客様から、「もう少し待てば今後安くなりますか?」というご相談を受けることがあります。もちろんタイミングは大切です。しかし、ここ数年の状況を見る限り、待ったことで大幅に安くなったケースはありません。むしろ資材価格や人件費の上昇により、住宅取得コストは上昇傾向が続いています。住宅購入で最も重要なのは、市場を完璧に予測することではなく、ご家族にとって最適なタイミングを見極めることです。

お子様の成長、通勤や通学環境、ご家族の将来設計などを踏まえながら計画を進めることが大切だと思います。家づくりは多くの方にとって一生に一度の大きな買い物です。不安なニュースが続く時代だからこそ、正しい情報をもとに判断し、後悔のない住まいづくりを進めていただければと思います。

私たちも現場の視点から、これからも皆さまのお役に立つ情報をお届けしていきたいと思います。住まいに関するご相談やご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

 

本日も最後までブログを読んでいただき、ありがとうございました。

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